少人数向け演劇台本を無料提供。

赤あげて白あげて

●2人 ●25分程度

●あらすじ

気がつくと手には赤い旗と白い旗。そこへ教官と名乗る人物が現れ、いきなり「旗あげ」の指導を始める。自分がどこにいて、なんのために「旗あげ」をしなければいけないのかが全くわからないまま、主人公は徐々に教官のペースに巻き込まれていく…。不条理っぽい、コント風の、短い台本。

●キャスト

研修生
教官

●台本(全文)

暗い中。スポット。

中央に研修生立っている。

上手より教官の声。拡声器を通して。

教官  コラ。そこ。何やってる! ビシッとしろ、ビシッと!

研修生、上手のほうを向いて「自分ですか」という感じで自分を指さす。

教官  バカ野郎! すっとぼけやがって。お前、最近、たるんでるぞ。

研修生、意味がわからず小首をかしげる。

教官  よーし、他は休憩。 

ガヤガヤとした声や足音、遠ざかる。

明るくなり、上手より教官、拡声器を持って登場。

教官  お前は特訓! いいな。

研修生 ……。

教官  返事は!

研修生 アッ。…ハイ。

教官  今日はできるまでとことんやるからな。

研修生 できる? …できるって…あの…何を…。

教官  お前、オレをバカにしてるのか?

研修生 イエ、そんな…。あの、でも、私…。

教官  (ムッとして)今、お前がすることと言ったら、(教官、研修生に近づき、研修生の両手をつかんで前に出し)コレしかないだろ!

研修生、右手には赤い旗、左手には白い旗を持っている。

研修生、自分でも驚いた様子で。

研修生 ? エッ、これって…。

パッと暗くなり、研修生にスポット。

研修生 なんなの、これ。エラそうな人と旗を持つ私…。一体どういうこと? まったく状況が見えないんですけど…。(キョロキョロして)ていうか、そもそも、ここってどこ?

パッと明るくなる。

教官  何キョロキョロしてんだよ。(少しあきれて)なぁ、お前。頼むからもうちょっとしっかりしてくれよ。あと何日だと思ってんだ。今、ガンバラないでいつガンバルんだよ。わかってると思うけど、お前ひとりのために、全体練習、全然進んでないんだからな。

研修生 …全体練習。

教官  アア。

研修生 でも、あの…。

教官  それともなにか。お前、このままで本番迎えられると思ってんのか?

研修生 …イエ。

教官  だよな、それはないよな。いくらノーテンキなお前でも、このままじゃ無理だってことくらいはわかるよな。よし、じゃあ始めるぞ。みんなを待たせてるってことを忘れるな。お前ができ次第、全体練習に入るからな!

パッと暗くなり、研修生にスポット。

研修生 全体練習…。手には紅白の旗…。アア、そうか。体育祭の応援合戦だ。そうだそうだ。間違いない。私、貧血か何かでフラフラしちゃって、それでまだボーッとしてるんだ。そうかそうか…。

パッと明るくなる。

教官  何ブツブツ言ってんだよ。さっさと始めるぞ。(拡声器を口に当て)ハイ。赤あげて!

研修生 エッ?

教官  遅い! もう一回! ハイ。赤あげて!

研修生、赤い旗をあげる。

教官  白あげて!

研修生、白い旗をあげる。

教官  赤白さげて、赤あげない!

研修生、思わず赤い旗をあげてしまう。

教官  (拡声器を口からはなして)このうすらトンカチ! なんでこんな基本動作でつまづくんだよ。えっ、オイ!

研修生 …スミマセン。

教官  オレに謝ってもらってもしょうがないんだよ。スマナイって気持ちがあるんなら、それをガンバリに変えろよ。なっ。

研修生 …ハ、ハイ。

教官  あのなぁ、オレが厳しくやってんのは、お前のためを思ってのことなんだぞ。わかるか? 本番で失敗してハズカシイ思いをするのはオレでもないしまわりのヤツらでもない。お前自身なんだぞ。そこのところをよーく胸に刻んでおけ! いいな。

研修生 …ハ、ハイ。

教官  よし、いくぞ。(拡声器を口に当て)ハイ。赤あげて、白あげて、赤白さげて、赤あげない。

研修生、教官の声にあわせて旗をあげさげする。

教官  ヨシ。次。赤あげて、白さげる、赤白あげて、赤さげる。白さげて、赤あげない、赤白あげて、白さげない。ヨシ! 赤さげて、白さげて、ぐるっと回っちゃいけません。

研修生、思わずぐるっと回ってしまう。

教官  (拡声器を口からはなし)バカヤロー!

研修生 スミマセン。

教官  お前。ホントに怒るぞ。「ぐるっと回っちゃ」ときたら「いけません」に決まってるだろ。今のは「回っちゃ」の「ちゃ」に注意してれば百パーセントふせげるミスじゃないか。今まで何勉強してきたんだ。いいか、一生懸命やって出るミスは仕方ない。けど、今みたいな凡ミス、オレは絶対許さんからな。そういうの、オレが一番キライだってこと、知ってるだろ! …ったく、情けないよ。…オレも長年教官やってきたが、お前みたいにカンの悪ヤツ、初めてだぞ…。

研修生 …キョウカン?

教官  なんだ?

研修生 いえ、なんでもありません…。

教官  (しんみりと)あのさぁ、研修生になったんだからさぁ、お前、もうちょっと頑張んないと…。…こんなところでくじけてどうすんだよ。だろ? オレの言うこと間違ってるか? 間違ってないよな。 …それとも何か、お前、研修生になれただけで満足なのか? そんなわけないよな。一生、研修生のままでいいわけないもんな。

パッと暗くなり、研修生にスポット。

研修生 ケンシュウセイ? 私、研修生なんだ…。で、この人は教官か…。…教官と研修生ねぇ…。う〜ん、どうやら体育祭の練習じゃないみたいだけど、じゃあなんなのかってのがわからん…。ていうか…そもそも学校じゃないみたいな気がする…。…どうしよう、「ここはどこですか」って聞いてみようか…。(教官のほうをチラッと向くしぐさをして)イヤイヤ、そんなこと聞いたら、また怒鳴られちゃうよ…。アッ、そうだ。「研修生のままでいいわけないだろ」ってことは、研修生の先があるってことだよね。そうだそうだ。それを聞き出せばヒントになるかも…。

パッと明るくなる。

研修生 あの。教官。

教官  なんだ?

研修生 私、気持ちを入れかえてガンバリます。だから、私を見捨てないで下さい!

教官  (感激して)オオッ、そうか。やる気になったか。オレはな。お前のその言葉を待ってたんだ。ヨーシ。ビシビシいくからな。覚悟しろよ!

教官、拡声器を口へ。

研修生 アッ、あの、それで教官。

教官、拡声器をさげて。

教官  なんだよ。

研修生 私、研修生のまま終わりたくないんですけど…。

教官  そりゃあ、誰だってそうさ。

研修生 …あの、でも、先のこと考えると不安で…。

教官  そりゃあ、誰だってそうさ。

研修生 …えっと、…アッそうだ。教官はどうやって教官になられたんですか?

教官  あれ、言わなかったっけ? オレは、この道一筋さ。

研修生 この道っていうと…?

教官  この道って、そりゃ、旗あげに決まってるだろ。

研修生 旗あげ一筋ですか。

教官  そうだよ。

研修生 …ということは教官も、元は研修生だったわけですよね。

教官  もちろんそうだ。

研修生 で、研修生の後は…。

教官  この道一筋だ。

研修生 (教官から顔をそむけ、小声で)う〜ん…手ごわい。質問を変えたほうがいいな。…アッ、そうだ。(教官のほうを向いて)教官は何を目標に旗あげをされてきたんですか?

教官  何って、旗あげやるからには、目指すところはひとつだろうよ。

研修生 と言うと?

教官  (ちょっと笑って)何言ってんだよ。てっぺんだよてっぺん。

研修生 てっぺん? …あの、それを具体的に言うと…。

教官  (笑って)バカ、お前、そんなわかりきったこと聞くなよ。

研修生 でも、聞きたいなぁ〜。てっぺんのこと。教官、お願いします。てっぺんとは何か、ズバッとおっしゃって下さい!

教官  ああ、そういうことか。気合いを入れたいんだな。

研修生 ハイ。そうです! さぁ、おっしゃって下さい。てっぺんとは!

教官  よし、そこまで言うのなら、聞かせてやろう。てっぺんとは、すなわち、旗をあげるすべての者の究極の目標。紅白旗合戦だ!

研修生 紅白旗合戦…ですか。

教官  (ガクッとして)何、すっとぼけてんだよ。紅白旗合戦しかないだろ、紅白旗合戦しか。紅白目指して、みんなガンバッテるんじゃないか。

パッと暗くなり、研修生にスポット。

研修生 なんなの、紅白旗合戦って…。コンテスト? でも、もしコンテストだとしたら、研修生っていうのは何? …ヤバイよ、これ。全然見当がつかないよ…。…私、病気なのかな。そういえば、なんかあったよね、記憶がすぐ消える人が主人公の映画。アレ、観とけばよかったな…。DVDとか出てるかな…。でも、今からTSUTAYAに行きたいとか言ったら、絶対殴られるもんな…。…よし。こうなったら正直に聞いてみよう。

パッと明るくなる。

研修生 教官!

教官  なんだ。

研修生 あの…。怒らないで聞いて下さいね。…実は、私、今、すごく混乱してて…。

教官  混乱?

研修生 エエ。どうして旗をあげなくちゃいけないのかがわからないんです…。それさえわかればもっとガンバレる気がするんですけど…。

教官  (少し優しく)よくあることさ。オレだって現役のときは何度も経験したよ。

研修生 そうなんですか。

教官  アア。でもな、迷ったときは(研修生の持っている旗に手をかけ)これだ。この旗を振り続けることで、迷いも振り払える。

研修生 イエ、そうじゃなくて…。旗を振ること自体の意味がわからないんです。…なんのためにこんなことをしてるのかがわからなくて…。

教官  だから、それは、紅白旗合戦に出るためじゃないか。何言ってるんだ今さら。

研修生 あの…。

教官  何。

研修生 私、その紅白旗合戦っていうのに…別に出たくないんですけど…。

教官  ハァ? なんだよ、お前。そういう根本的なところで悩んでんのかよ。

研修生 ハイ。そうなんです…。

教官  じゃあ聞くが、旗あげやめて、何がしたいんだ。そこまで言うからには他にやりたいことがあって言ってんだろ。それを聞かせてくれよ。

研修生 …アッ、イエ。それは…。

教官  はっきり言えよ。

研修生 …あの…でも…なんて言うか…。

教官  まさか、お前、玉乗りに変わりたいとか言うんじゃないだろうな。それはないぞ、お前。玉乗りの悪口を言うつもりはないが、あれは、まぁ、どういうか…。ただの見せ物じゃないか。あんなものはやりたいやつにやらせておけばいいんだよ。それにひきかえ旗あげの統一感、美しさ、キレのよさ…。そういうのわかるだろ? オレは旗あげ一筋にやってきて、後悔してない。悪いことは言わん。玉乗りだけはやめておけ。

パッと暗くなり、研修生にスポット。

研修生 ハハァ〜ン。わかった。今の大ヒントじゃん。サーカスだ。サーカス。サーカス団の養成所みたいなところなんだ。だから教官がいて、研修生の私がいるんだ。で、そのサーカスには「旗あげ」っていう出し物があって、「旗あげ」の中で一番すごい技が「紅白旗合戦」なんだ。けど、それをやれるのは旗あげやってる人の中でもトップクラスの人だけで、すごい花形なわけだ。ヨッシャー。謎は解けたぜ! …だが、待てよ…。早合点は禁物、念には念を入れて確認しておいたほうがいいな…。これ以上、教官を怒らせるのはマズイ…。ヨーシ。ここは一発、探りを入れてみるか…。

パッと明るくなる。

研修生 キョーカン!

教官  なんだ?

研修生 私、旗あげ大好きです!

教官  オオ。そうか。

研修生 だから、教官みたいに旗あげ一筋でいきたいです!

教官  よく言った!

研修生 私、玉乗りなんて、あんなものしたくありません!

教官  当然だ。

研修生 私、努力して、空中ブランコとかにも負けないように旗あげします!

教官  空中ブランコ?

研修生 …ハイ。空中ブランコとか…火の輪くぐりとか…。

教官  何言ってんだよ。サーカスじゃあるまいし。

パッと暗くなり、研修生にスポット。

研修生 ダメだ。はずした…。どうしよう。逃げちゃおうかな…。でも、逃げるっていってもどこに逃げたらいいかわかんないし…。この状況でやめるとも言えないしな…。ウーン。しばらくはこの教官の言うとおりにして、様子をみるしかないか…。(間)うん。そうだな。しかたない。とりあえずそれでいこう…。

パッと明るくなる。

研修生 …教官。

教官  お前、ホントに大丈夫か?

研修生 大丈夫です。ついさっきまでのは、ちょっとした気の迷いでした。ご迷惑おかけしてスミマセン。心を入れかえて、必死で旗あげしますんで、よろしくお願いします!

研修生、礼。

教官  そうか。ヨシ。ならやるぞ。

研修生 ハイ!

教官  いいか。集中しろ。無になるんだ。

研修生 ハイ!

教官  旗っていうのはな、考えてからあげちゃダメなんだ。体で覚えて、気合いであげるんだ。いいな。

研修生 ハイ!

教官  ヨシ! いくぞ。

研修生 ハイ! お願いします!

教官、拡声器を口に当て。

教官  赤あげて、白あげて、赤白さげて、赤あげない。ヨシ。白さげて、赤あげない、赤白さげて、白さげない。赤あげて、白あげて、赤白さげずに、白さげない。ヨシ。赤あげて、白あげて、ぐるっと回っちゃいけません。ヨシ、合格!

研修生 ありがとうございます!

教官  (拡声器を口からはなし)やればできるじゃないか。

研修生 ハイ。

教官  今くらいのキレとスピードがあれば、絶対上に行ける。いいな。今の呼吸を忘れるなよ。

研修生 ハイ!

教官、上手に向かって。

教官  ヨーシ。みんな集まれ。全体練習を始めるぞ!

ザワザワと人が集まる音。

教官、上手へ消える。

暗くなって、研修生にスポット。

教官の声。拡声器で聞こえてくる。

研修生、教官の声にあわせて旗をあげさげ。

教官声 白あげて、赤あげない、赤あげないで白さげる。赤あげて、白あげて、赤白さげて、赤あげない。白あげない、赤さげない、赤白あげずに、白さげない。赤あげて、白あげて、ぐるっと回ってハイ、ポーズ。

研修生、ポーズきめる。

教官声 ヨシ。

拍手。

研修生、まわりからほめられたらしい。喜ぶしぐさ(ゼスチャーで)。

研修生 なんか、よくわかんないけど、楽しくなってきた…。みんな、アリガトウ。今までゴメンね。迷惑ばっかかけて。…うん、うん。そうだよね。ガンバロウね。うん、うん、できるよね。うん、うん。

教官声 ちょっとできたくらいでいい気になるな。次いくぞ!

研修生 ハイ。お願いします!

研修生のスポット消え、暗転。

真っ暗な中で、「赤あげて、白あげて、赤あげないで、白さげない。コラ、そこ何やってる! もう一回最初から! 赤あげて、白あげて…」といったふうな教官の指導する声(録音した声)がしばらく流れる。最後に「ヨシ。これでキメるぞ。ハイ。白あげて、赤あげない、赤あげないで白さげる。赤あげて、白あげて、赤白さげて、赤あげない。白あげない、赤さげない、赤白あげずに、白さげない。赤あげて、白あげて、ぐるっと回ってハイ、ポーズ」の声。続いて大きな拍手。

やがて、明るくなると、舞台中央に服を着替えた研修生がポーズをキメたまま立っている。

教官、上手より登場。

教官  全員集合ぅ〜! よくやった。最高だ。今のはいい出来だったぞ。

研修生 ありがとうございます(研修生、礼)。すべて教官の御指導のおかげです。これからもよろしくお願いします!(研修生、再び礼)

教官、ちょっとあらたまった感じになって。

教官  「アア、ついてこい!」…と言いたいところだが…。

教官、みんなに話しかけるような感じで。

教官  ちょっと聞いてくれるかな。…今日は、ちょっと残念なお知らせがあります。いいか、みんな、落ち着いて聞いてくれ…。実は、紅白旗合戦ですが、諸般の事情により、今年から中止になることが決定しました。

どよめく。

教官  静かに。静かにィ〜。…皆さんのその残念な気持ち、よーくわかります。私も非常に残念です。ですが、皆さん、もうこれは決まったことなんです。今すぐ気持ちを切り替えることは難しいかもしれませんが、決して落ち込んだりしないように。…それから、これが一番大切なことですが、たとえ紅白旗合戦がなくなったとしても、皆さんが今まで必死に旗をあげてきたことは、これから先、絶対、皆さん自身の肥やしとなって、これからの皆さんを立派に育ててくれるはずです。ですから、これから先、どのような道に進まれるにしても、仲間と一緒に旗をあげたことを誇りに思い、胸をはって生きていって下さい。いいですね。(声を詰まらせ)…これが教官として私が皆さんに伝えられる、最後の言葉です。

ざわめく。

研修生 どういうことですか教官…。

教官  私事ではありますが、私、今期をもちまして退官することとなりました。みんな今までありがとう!

エーッというどよめき。

教官、研修生に近づき。

教官  これからもガンバレよ。

研修生 そんな…。教官…。私、教官がいなくなったら、この先どうしていいかわかりません…。

教官  (優しく笑って)教えたことをもう忘れたのか。「迷ったときは旗を振れ」だ。いいな。

研修生 教官…。

教官  その旗が、きっとお前の進む道を教えてくれる。

研修生 …ハイ。

教官、研修生からはなれ、みんなに話しかけるように。

教官  よーし。じゃあ、お別れだ。同窓会楽しみにしてるからな。絶対呼べよ!

研修生 教官!

教官、手を振って上手へ去る。

拍手の音。

研修生、去っていく教官に思いっきり旗を振る。

暗くなって研修生にスポット。

研修生 教官。私、これからも教官の教えを守って、旗を振っていきます。見てて下さい、教官!

研修生のスポット消え、暗くなる。

一瞬の後、研修生に赤いスポット。

突然、ピーッという笛の音。

「全員整列して下さい」という教官とは違う声(録音)が響く。

思わず背筋を伸ばす研修生。

声 ハイ。赤あげて、白あげて、赤さげて、白さげる。赤あげて、白あげて、赤さげて、白さげる。赤あげて、白あげて、赤さげて、白さげる。赤あげて、白あげて、赤さげて、白さげる。赤あげて、白あげて、赤さげて、白さげる。

旗をあげさげしながら、ちょっとキョロキョロする研修生。

声 ハイ、次。赤あげて、白あげて、赤さげて、白さげる。赤あげて、白あげて、赤さげて、白さげる。赤あげて、白あげて、赤さげて、白さげる。赤あげて、白あげて、赤さげて、白さげる。赤あげて、白あげて、赤さげて、白さげる。

研修生 何、コレ…。こんなの誰でもできるじゃない…。簡単すぎるよ。

声 ハイ、次。赤白あげて、赤白さげる。赤白あげて、赤白さげる。赤白あげて、赤白さげる。赤白あげて、赤白さげる。赤白あげて、赤白さげる。赤白あげて、赤白さげる。赤白あげて、赤白さげる。赤白あげて、赤白さげる。

研修生 …どうなってるの。一体…。

声、一段と大きくなり。

声 ハイ、次。赤白あげて、赤白さげる。赤白あげて、赤白さげる。赤白あげて、赤白さげる。赤白あげて、赤白さげる。赤白あげて、赤白さげる。赤白あげて、赤白さげる。赤白あげて、赤白さげる。赤白あげて、赤白さげる。

研修生 ちょっ、ちょっと…。いくらなんでもおかしくない? ねぇ、誰か、止めて…。

声、さらに大きくなり。

声 ハイ、次。赤白あげて、赤白さげる。赤白あげて、赤白さげる。赤白あげて、赤白さげる。赤白あげて、赤白さげる。赤白あげて、赤白さげる。赤白あげて、赤白さげる。赤白あげて、赤白さげる。赤白あげて、赤白さげる。

研修生、驚いた顔で。

研修生 ヤダ。どうしよう。体が勝手に動いちゃう…。教官! どこですか教官! 止めかたを教えて下さい!

声 ハイ、次。赤白あげて、赤白さげる。赤白あげて、赤白さげる。赤白あげて、赤白さげる。赤白あげて、赤白さげる……。

やがて「赤白あげて、赤白さげる」の声に、行進曲風のリズムがかぶさっていく。

さらに、「赤白あげて、赤白さげる」声はだんだんと小さく消えてゆき、かわりに「バンザイ、バンザイ」と繰り返す声が大きくなる。

とうとう最後は、行進曲風の音楽にあわせて「バンザイ、バンザイ」の声のみに。

研修生、バンザイの声にあわせて旗をあげさげしつつ。

研修生 助けて…。こんなの旗あげじゃないのに…。腕が止まらない…。止められない…。

「バンザイ、バンザイ」の声、ますます大きくなっていく。

研修生、旗を振り続ける。やがて自ら。

研修生 ……バンザイ。…バンザイ。(バンザイと言い出した自分に驚いたような顔)…バンザイ、バンザイ、バンザイ、バンザイ、バンザイ、バンザイ、バンザイ、バンザイ。(やがて大きな声で)バンザーイ! バンザーイ! バンザーイ! バンザーイ! バンザーイ! バンザーイ! 

「バンザーイ! バンザーイ!」と叫びながら旗を振り続ける研修生。

研修生に当たっていた赤いスポット、次第に消えていく。

真っ暗になってゴーッという爆音。     幕

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